「すこしだけ我慢してね。お兄ちゃんがついてるから大丈夫だよ」
よしよしと慰めていたとき、灯籠の明かりがパッと強さを増した。
暗闇に浮き上がってきたのは
白と黒の2体のピエロだった。
即座に祥を背中に隠す。
なんだ?こんなところに待ち伏せしていたのか?
『やあやあ!ウラメシヤ〜☆
生き残りの少年少女ヨ!
ボクたちはラッキーピエロ!
この教室を選んだなんて運がいいネ!』
白のピエロがくるりと回ってウインクをした。
"運"という単語を聞いて、第一ノ遊戯で戦った毒のピエロが脳裏によみがえる。
ゴミみたいな思い出だ、こんな場所すぐに出るんだった。
後悔しつつ、ピエロたちの言葉を待つ。
『安心してぇ?
ボクたちは2人の味方ダヨ!
廊下にはびこる鬼からキミたちを匿ってアゲル!』
甘い言葉には棘がある。
初対面で好意的なことばかり提示してくる連中など信用するわけがない。
しかし俺のうしろにいる純粋なお姫様は早くもソワソワしはじめているようだった。
「お兄ちゃ」
「口車に乗せられちゃダメだよ?」
「う、」
「祥はお兄ちゃんのことだけ信じていて?」
手の焼けるかわいい妹の唇をひとさし指でトンとつつき、ピエロたちに向き直る。
社交場で挨拶をするみたく、笑顔を貼り付ける。
「それは本当かい?頼もしいなぁ。鬼ばかりいるから妹が怖がっていたんだ。どうもありがとう。
で」
──条件は?
俺の問いに、ピエロたちの表情が変わった。



