「!…お兄ちゃん、奥の方からピエロが走ってくるっ」
「うん、わかった。それじゃあ…」
始末するために鈍器を拾い直そうとすれば、今度は祥に思いきり手を引かれる。
目的地一歩手前の2−4に転がり込んだ。
「わっ、く、暗い」
抱きついてくる祥を受け止める。
俺をまわりを見渡した。
おどろおどろしいBGM
薄明かりをもらす灯籠
墓石と塔婆
「お化け屋敷か」
視界も悪く、舞台道具も多い。
この場所ならピエロをやり過ごすにはうってつけだろう。
と思っていたのだけど、祥は違うらしかった。
「まずい…私怖いの無理なんだった」
「ふふ、小さい頃はひとりでトイレ行けなかったもんね。お兄ちゃんついてきて〜って。可愛かったなぁ」
「こんなところで思い出に浸らないで!」
収まってきた祥の震えが元通りになってしまった。
祥が嫌なら外へ出てもいいけれど、廊下からはひたひたと足音が近づいている。
今ここから出るのは得策じゃない。
俺が始末すればいい話だけど、さらに祥を怖がらせることにもなりかねないし。
ぎゅうと震える体に腕を回して背中を撫でる。



