「日下部くん!逃げないと!」
「え、あ、うん」
背を押されるまま廊下を出た。
とにかく上に行こうと、ぐにゃぐにゃ動く煌びやかな階段をのぼる。
なんだってこんな面倒なからくりを仕掛けるんだ。
圧倒的に人間側が不利じゃないか。
考え無しに走り出したはいいが、そもそも凶悪なピエロから逃げながら県内屈指のマンモス校を探索するなんて無理ゲーすぎる。
「日下部くん、俺はここで失礼するよ。やっぱり祥のことが心配だから、様子を見てくる」
「え、わ、わかった。じゃあね…」
「あぁ。きっと生き残ってくれ」
隣で走ってくれていたフィムくんが中央階段に消えていく。
本当の意味で一人きり。
はじめての状況に震える。
ここは2階。1年生のエリアだ。
クーピーと戦ったのもこのエリアであり、橋本さんの辛そうな泣き顔を思い出してしまって胸が痛くなる。
あまりここにはいたくないな…
とにかく走って3階へ上がった。
2年のエリア。
普段、僕と橋本さんが過ごしている空間が広がっている。
奥の方で駆け回る生徒たちを見つけた。
久々に見る生き残りにほんの少しだけ安堵する。
その時、鬼が放出されたという放送が流れた。



