「ジョーカーくん」
すぐ隣から、聞き慣れたうざったい声がした。
驚いて顔を向ければ、薄暗い室内に浮かぶオレンジとホワイトの縦縞。
「なぜお前がここにいる、イース」
眉間に力が入り、触れそうなほど近くにいるイースの胸を押した。
性悪ピエロはいやらしく喉で笑う。
「なんでって、キミについてきたからに決まってんじゃん?」
「その理由を聞いてんだよ」
「べつにぃ?強いて言うなら、ジョーカーくんのことが好きだからカナ」
「きもちわりぃ。邪魔だからどこかへ行け」
「なんだよつれねぇな〜。ボクがピエロちゃんだったら同じこと言えた?」
「………」
うるせぇ野郎だ。
その問いには答えず、代わりに舌打ちで返してやった。
満足気にくちびるを吊り上げる気に食わないピエロを無視して外へ耳を澄ます。
ハンガリー舞曲がかすかに聞こえる。
それ以外は静かだ。
生き残りは俺たちだけじゃないだろうが、あまりにも遭遇率が低い。



