「んっ、ぁ…お兄ちゃ…」
「ねぇ祥、いつからそんな悪い子になってしまったの?もしかして若松や日下部くんに影響された?ならあの2人をここに連れてきて目の前で殺してあげようか」
圧迫が強くなる。
苦しくて痛くて咳すらできない状況に半ばパニックに陥った。
お兄ちゃん、どうして
「全然違う。祥はなにも分かってない。みんなみんな祥のことが欲しくてたまらないんだよ。だから争って、奪い合って、必死になって祥の手を取ろうとするんだ」
「かはっ…」
「そんなことにも気付かず、祥は誰にでも笑いかける。優しさを振り撒く。お兄ちゃんね、気が気じゃないんだ。いつ掠め取られるか、心配なんだよ」
狭まる視界の中で喘ぎながら唇にやわらかいものが重ねられるのを感じる。
幾度も食まれてはぬくもりに覆われる。
甘くて、哀しい味がした。
「愛しているんだ。自覚してよ。誰よりも祥のことを見てきたんだ。俺以外のものになるなんて許さない。離してあげない。祥の王子様は俺だけで、守るのも傷をつけるのも俺だけ。一生、来世だって俺の腕の中に閉じ込めておくんだ」
ひときわ深く口内を侵される。
くちづけられているのだと、おぼろげな頭がそう教えた。
「俺だけに愛されていないと殺しちゃうからね、祥」
途端に解放され、酸素を求めながらぐらりと膝が崩れた。
それをお兄ちゃんがやわらかく受け止める。
先ほどとは別人のような手つきにぞくりとした。



