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お兄ちゃんとしばらく走ったあと、廊下の中腹あたりで一度止まる。
こちらを向こうとする背中に、脳裏で渦巻いていたものを投げつけた。
「お兄ちゃん」
「うん?」
「私、ひとりで行動する」
思いもよらない。
そんなお兄ちゃんの言葉が聞こえてくるように、目の前の大きな瞳がこれでもかと開かれた。
私にしか見せない、動揺の色。
「なにを…言ってるんだい?」
「もやもやしていたの。みんなが仲違いするのは、全部私のせいなんじゃないかって」
「ちがう、ちがうよ。祥のせいじゃない。あいつらがどうかしてるだけなんだ」
「違くないよ」
自惚れでも、思い上がりでもなく、私という存在を中心にそれぞれがぶつかり合っている。
時間が経つごとにじわじわと深さを増していった亀裂は、私が傷を負ったことであっけなく半分に割れて明白となった。
いつもどおりの諍いだと看過していたものが今や一番の危険因子となってしまっている。
そんなの、原因である私がどうにかするしかない。
誰も傷ついてほしくない。
なら私が自分から強くならないといけない。
大切に守ってくれていたお兄ちゃんを切り離すのは胸が痛いけど…



