Forgiving~英国人実業家は因習の愛に溺れる~


 多くの木々に囲まれた古い邸宅の庭で、佳苗とマシューの結婚式は執り行われた。

 幸せそうな新郎新婦、明らかに緊張していてかわいそうなくらいの日本の親族たち、誓いの言葉に情熱的なキス、豪華な食事、そして明るい音楽。
 時間はまたたく間に過ぎていった。

 あかねは初めて、映画に見るようなロマンチックなダンスをケネスと踊った。意外にも彼はダンスが上手くて……あかねは何度も息が止まりそうな思いをした。
 こんなの反則だ。

 濃いグレイのスーツにネクタイはなし、というのがケネスの格好で、毎日一緒に暮らしているはずのあかねでさえ見惚れてしまうのだから、他の女性陣は言うに及ばず。

 あかねは時々、彼女らからのチクチクとした視線に堪えなければならなかった。

 そのせいか夕方近く、式が長引いて4時を過ぎたころになると、あかねは休息を求めて人気の少ない場所へふらふらと一人で移動していた。
 少し、一人になって深呼吸したい気分だった。
 ケネスは知り合った英国人の仲間たちとスポーツの話題で盛り上がっていたので、離れるのは楽だった。