あれは決まって雨の日ばかりだった──特に、こんな嵐のような降り方をする日は、最悪だった。
(だったらなんだ! 俺は、なにを……)
書斎へ飛び込むなり、ケネスはマホガニーの仕事机を力任せに叩いた。机上に積み上げられていた書類が数枚、その揺れにしたがって、はらはらと床へ散っていく。
ケネスは音がしそうなほど歯を食いしばり、正面の窓を見やった。リビングほどの大きさのものはないが、採光のための小さな窓があり、雨が打ちつけている。
後悔がケネスを襲った。
意図したことではないとはいえ、あかねに暴力をはたらいたのだ。男として、人として、許されることではない。
おまけに、すぐに謝って彼女を助け起こせばいいものを……ケネスにはそれが出来なかった。そう、自分を見上げるあかねの澄んだ瞳に、また同じように怒りを爆発させてしまいそうな気がして、逃げ出したのだ。
雨に濡れた窓は、表面にいくつものドット模様を作り、それを滴らせていく。
ケネスはこれが嫌いだった。
生前の母に暴力を振るわれたのが、決まって雨の日だったからだ。


