The rain falls like a thunder, as I truly hate it.
その夜、窓に打ちつけてくる雨を眺めながら、ケネスは無意識に眉をしかめていた。
週末──ロンドンの街中はいつも騒がしい。
喧騒より静寂を好むケネスは、この休日の夜を、外を出歩くより自宅のフラットでゆっくりと休息を取ることにして、のんびりと過ごしていたところだった。
もちろん喧騒だけが引き篭もりの原因ではない。
ケネスの腕の中で、まどろみながら映画のワンシーンを眺めている存在……あかねこそ、ケネスが週末フラットを離れたくなかった本当の理由だ。
数々の誤解やすれ違いを乗り越え、恋人同士となった現在の二人は、かつてない幸せと平安を手に入れたといえよう。それほど最近の二人の関係は良好だった。
イギリス人としても長身の部類に入るケネスにとって、華奢なあかねは本当に羽根のようで、そんな彼女を腕の中に包みながら過ごす週末の夜は、この世の至福になるはずだった。
──いや、確かに至福だったのだ。
突然の強い雨が、降り始めるまでは。


