Forgiving~英国人実業家は因習の愛に溺れる~


 三島は探偵会社の助けを借りて、ケネスの詳しい過去を調べたらしい。

 なぜそんな事を始めたのか?
 それは、一条グループ最後の最後、倒産寸前に、とある新興企業が突然社を買い取りたいと申し出てきたことに疑問を感じたからだと、三島は言った。

 買い叩き同然の値段ならまだしも、向こうはそれなりの額を提示してきたのだ。そのお陰で社員達もあかねも、路頭に迷うことはなかった。

 しかし長年のビジネス経験から、三島は、そこになにか人為的な意図があるように思えたのだ。
 その理由を考えたとき──思いついたのが、ケネスの存在だった、と。

「彼は企業の株を大量に買って、うちを買い取るようにと圧力を掛けたらしい。最近今の会社の役員達にも面識が出来たんでね、調べるのは難しくなかったよ」
「そんな……でも、どうして」
「罪悪感を感じたのかな。彼は、結局正敏にはなり切れなかったんだ。正敏と同じ事をするには優しすぎたのかもしれない。それとも……」
「?」