Forgiving~英国人実業家は因習の愛に溺れる~


「正敏は──君の父上は、奔放な男だった。豪快で外交的で、いかにも人の上に立つタイプの男だ。私も彼の、その、そうだ、一種のカリスマに惹かれたんだ。だからまだ若い頃からずっと彼の元で必死に働き続けていた。懐の広い男だったし、人間としてはとても魅力的だった」

 懐かしい思い出を脳裏に描きながら、それを愛おしむような口調で、三島はそう語った。
 しかしあかねは疑問に首を傾げる。

「待って下さい、三島さん。どうして急に父の話に……」
「実は正敏はまだ君が生まれる前、ケネス君の母親に会っていたんだ。全てはそれが原因なんだ」
「なにを……」
「とにかく聞いてくれるね」

 三島はそう言って、目の前に置かれたコーヒーを一口すすると、話し始めた。