融資が突然ドラスティックな形で切られたことは、やはり会社には大きな衝撃だった。
ちょうど新規事業に手を出しかけていた所だった事もあって、会社は企業としての形を保っておけない状態にまで悪化した。結果として、一条グループは売却という土壇場を迎えた。
本来なら倒産、そして、責任者であるあかねは経営責任を取らなければならない立場だった事を考えれば、最後の最後で突然買取を申し出た企業があったことだけは、 不幸中の幸いだったのだろう。
しかしあかねは、それをもただ傍観することしか出来なかった。
あの、ケネスと過ごした二ヶ月はなんだったんだろう。
そんな事ばかりを考えて、ただ流されるまま、やらなければいけない仕事だけを機械的にこなしていた。
夢だったのだろうか。
だったらどうしてこんなに胸が痛いの。
だったらどうして、こんなに貴方が恋しいの……?


