Forgiving~英国人実業家は因習の愛に溺れる~


 謝る、時間くらい欲しかった。
 もし自分が何かケネスに悪いことをしたというのならば、こうして謝る時間くらい、くれてもよかったのに。

 あかねはその場で泣いた。その後どうやって家へ戻ったのかは、ほとんど覚えていない。ただ会社には戻らなかったことだけは確かだ。

 許して欲しい──そう祈り、願った。
 その罪がなんなのかさえ、分からずに。

 ケネスに対して、そして、三島をはじめとする社員達に対しても。

 罪のない罰に苛まされながら、あかねは、それから数ヶ月をただ流されるままに過ごした。