I did my best to keep her away from my mind, though it wasn't a great success.
ホテルの部屋へ戻ると、ケネスは乱暴にスーツを脱ぎ捨てた。
よくやった──そう、自分を賞賛してやりたい気分だ。
あかねに声を掛け、その翌日には彼女の会社へ赴き、夢のような融資話を申し出る。そして求婚、豪華な夕食、ふたりきりの時間……。
すべては計画した通りだ、ずいぶんと上手く行っている。
それなのに、どういうわけか荒れすさむ気分を抑えつつ、ケネスは真っ直ぐにシャワールームへ向かった。
熱く強いシャワーに打たれることを身体が望んだ理由は──多分に、この動揺に似た妙な感覚を流してしまいたかったからだ。そうだ、洗い流してしまえばいい。
ここで情を移すのは余りにも致命的だ──。
長くて熱いシャワーから上がると、ケネスは目の前の鏡に彼自身を映した。
数秒、睨むようにそれを見つめたあと、そのままタオルを腰に巻いただけの格好で部屋へ戻り、ベッドサイドに腰を下ろした。そしてミニ・バーから出したウィスキーを煽った。
ごくりと咽を通るそれが、少しばかりケネスの中でせめぎ合う焦りを落ち着かせる。
この復讐の炎を鎮められるものは何もない。
そんな事を胸の中で、おのれに言い聞かせるよう繰り返した。


