破滅エンドしかないモブの娘に転生してしまったけど、父があまりにも優男だったので案外悪くはない。

 たまたまなのか、よりすぐったモノなのか。
 うちから借りている貴族たちの借用書には、結構な金額が書かれている。

 見たことある名前ばっかりね。
 ヒロインちゃん出てきたら、やられちゃうモブばっかじゃない。

「コレをどうするおつもりなのですか。借金取りとして押しかけたところで、彼らはすんなり返済などしないですよ?」
「でしょうね。私はそんなことするつもりはないわ」
「だったら」
「それよりねぇオーウェン、この中のうち、あなたから見て一番誰が嫌い?」
「は?」

 またそんな嫌そうな顔をして。
 後で絶対に謝らせてやるんだから。

 私はパパみたいに優しくなんてないし。
 バッチリ回収方法だって、思いついてるんだからね。

 一から説明しても、絶対に無理だって否定されそうだけど。
 
「だーかーらー。この中の誰が嫌い? どの人が嫌なヤツ?」
「……それなら、この方ですかね」

 眉間にたっぷりと縦ジワを作っていたものの、その中の一枚をオーウェンは指差した。

 うんうん。
 金額も結構いいし、この人なら別にいいんじゃないかな。

 この人の良いところは聞いたことはないけど、この人の未来は見たことがある。

 それにオーウェンが指さすってことは、そーいう人なんでしょう。

「んじゃ、この人でやってみよー」

 片手を上げながら、私はその借用書を一枚受け取った。
 そして残りはまたこっそりとしまってもらう。

 意味が分からないオーウェンを引き連れて、私は目的地へ向かうことにした。