「誤解のないよう、もう一度伝えておきます。私の恋人は萩田さんではなく、こちらの神室志桜さんです」
楓はまるで見せつけるように志桜の肩をグッと抱き寄せ、そう言った。彼の氷の瞳はその温度をますますさげ、底冷えするような恐ろしさを放っている。
「それから、先ほどのワイン。どう見ても故意にしたことではなかった。勝手な憶測で、彼女の名誉を傷つけないでいただきたい」
彼特有の遠慮のない物言いは、相手が女性であっても変わらないらしい。楓はさらに愛奈にも鋭い視線を向けた。ところが、楓が口を開く前に愛奈はササッと踵を返してしまった。
「それじゃ! 私は着替えに行ってきま~す」
ホテルのスタッフと一緒に、彼女は会場をあとにした。
「じゃ、じゃあ私たちも」
ハルカとユリも、楓から逃げるようにその場を離れた。
ふたたび、彼とふたりきりになる。
(どうして愛奈のお願いを断ったんだろう? 楓さんが愛奈に恋をしたと思ったのは私の勘違いだったのかしら)
白状すれば、彼が愛奈のエスコート役を買って出ず、この場にとどまってくれたのが少し嬉しかった。
(今、ひとりきりになるのはさすがにつらいもの)
楓はまるで見せつけるように志桜の肩をグッと抱き寄せ、そう言った。彼の氷の瞳はその温度をますますさげ、底冷えするような恐ろしさを放っている。
「それから、先ほどのワイン。どう見ても故意にしたことではなかった。勝手な憶測で、彼女の名誉を傷つけないでいただきたい」
彼特有の遠慮のない物言いは、相手が女性であっても変わらないらしい。楓はさらに愛奈にも鋭い視線を向けた。ところが、楓が口を開く前に愛奈はササッと踵を返してしまった。
「それじゃ! 私は着替えに行ってきま~す」
ホテルのスタッフと一緒に、彼女は会場をあとにした。
「じゃ、じゃあ私たちも」
ハルカとユリも、楓から逃げるようにその場を離れた。
ふたたび、彼とふたりきりになる。
(どうして愛奈のお願いを断ったんだろう? 楓さんが愛奈に恋をしたと思ったのは私の勘違いだったのかしら)
白状すれば、彼が愛奈のエスコート役を買って出ず、この場にとどまってくれたのが少し嬉しかった。
(今、ひとりきりになるのはさすがにつらいもの)



