悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない

 若々しく華やいだ声が届く。声の方向を見れば、マカロンピンクとミモザイエローのドレスを着た女性ふたりが愛奈に手を振っていた。きっと、はぐれてしまった愛奈の友達だろう。

「よかった、再会できて」
「もう! 捜したんだよ~」

 愛奈とお喋りを始めたふたりは、志桜も知っている顔だった。学生時代、正確には中学と高校の同級生だ。志桜と愛奈は同じ中高一貫の女子校育ち。彼女たちとも六年間同じ学び舎に通っていた。

「志桜。覚えてる? ハルカとユリちゃん」

 愛奈が志桜も会話に交ぜてくれようとした。

「うん。お久しぶりです」

 志桜はぺこりと会釈をしたが、スッと視線をそらされてしまった。ふたりは志桜をまるきりいない者として会話を続ける。
 どうやら、当時も今も嫌われているようだ。ふたりになにかした覚えはないし、むしろ交流はほとんどなかったと記憶しているが……。とくに理由はなくとも気に食わない。多分、そういうことなのだろう。学校でも会社でもそう。残念ながら、自分はそういった〝嫌われ者枠〟に入ってしまう人間なのだ。

 そこに、ドリンクを持った楓が戻ってきてこちらに顔を向ける。

「赤ワインをオススメされたから、君と俺のぶんももらってきた」