うっとりと見惚れかけて、はたと気がつく。
(ん? あの子……)
見間違いかと思ったが、そうではない。楓がハンカチを拾ってあげた、ライラック色のドレスが似合うその女性は……愛奈だった。
「どうしてここに愛奈がいるんだろう」とか「来る予定ならなぜ教えてくれなかったの?」とか。そういう疑問が浮かぶより前に、志桜は寄り添ったふたりの姿に目を奪われていた。
なんというか、すごくお似合いで映画のワンシーンのように美しかったから――。
(なにを話しているんだろう?)
楓がハンカチを拾い、それに対して愛奈が礼を言う。ふたりの会話はそこでは終わらず、広がりを見せている様子だ。
愛奈がなにか言葉を発するたびに、楓が柔らかな笑みを浮かべる。あの楓が、柔らかな笑み。にわかには信じられない思いだ。
(なんだ。〝無愛想で変わった人〟なのは、私の前でだけだったのね)
愛奈と向かい合っている彼は、ごく普通の男の人だと思えた。彼女の愛らしさに頬を染め、心を奪われる。そんな男性を、これまで何人も見てきたからかもしれない。
わずかだが釈然としない気持ちを抱いている自分に気づいて、志桜は焦ったように頭を振り、思考を切り替えた。
(ん? あの子……)
見間違いかと思ったが、そうではない。楓がハンカチを拾ってあげた、ライラック色のドレスが似合うその女性は……愛奈だった。
「どうしてここに愛奈がいるんだろう」とか「来る予定ならなぜ教えてくれなかったの?」とか。そういう疑問が浮かぶより前に、志桜は寄り添ったふたりの姿に目を奪われていた。
なんというか、すごくお似合いで映画のワンシーンのように美しかったから――。
(なにを話しているんだろう?)
楓がハンカチを拾い、それに対して愛奈が礼を言う。ふたりの会話はそこでは終わらず、広がりを見せている様子だ。
愛奈がなにか言葉を発するたびに、楓が柔らかな笑みを浮かべる。あの楓が、柔らかな笑み。にわかには信じられない思いだ。
(なんだ。〝無愛想で変わった人〟なのは、私の前でだけだったのね)
愛奈と向かい合っている彼は、ごく普通の男の人だと思えた。彼女の愛らしさに頬を染め、心を奪われる。そんな男性を、これまで何人も見てきたからかもしれない。
わずかだが釈然としない気持ちを抱いている自分に気づいて、志桜は焦ったように頭を振り、思考を切り替えた。



