頭のなかはパニック状態なのに、いやに冷静に受け答えできている自分に驚く。きっとこういうところが『かわいげがない』と言われる原因なのだろう。
「そう。鷹井楓くん。鷹井家の三男坊だが、ちょっとワケありでもあって」
「ワケあり?」
ためらいがちに英輔は話を続ける。
「奥さまの実子ではなく、外の女性に……」
愛人の子、という意味だろう。
「嫌かい?」
「いえ、そんなのは気にしませんが」
この問いかけには、志桜は即座に首を横に振った。婚約相手本人に愛人がいるとなれば話は変わってくるが、出自は本人のせいではない。そもそも、無愛想でかわいげのない自分は男性にあれこれと条件をつけられる立場ではないだろう。
「そうか! さすがは志桜ちゃんだ」
英輔はへりくだるような笑みを志桜に向けた。
「やっぱりね……うちの愛奈ではさ、先方が気を悪くするかもしれないからさ。ここは神室本家のお嬢さんである志桜ちゃんでなくちゃね」
英輔はそんなふうに志桜を持ちあげた。
まるきり嘘ではないだろうが、かわいい愛娘をビジネスの道具にはしたくないという本音もきっとあるだろう。
(当然よね。それに、この状況を招いたのは私のお父さんなんだもの。愛奈に押しつけるわけにはいかないわ)
「そう。鷹井楓くん。鷹井家の三男坊だが、ちょっとワケありでもあって」
「ワケあり?」
ためらいがちに英輔は話を続ける。
「奥さまの実子ではなく、外の女性に……」
愛人の子、という意味だろう。
「嫌かい?」
「いえ、そんなのは気にしませんが」
この問いかけには、志桜は即座に首を横に振った。婚約相手本人に愛人がいるとなれば話は変わってくるが、出自は本人のせいではない。そもそも、無愛想でかわいげのない自分は男性にあれこれと条件をつけられる立場ではないだろう。
「そうか! さすがは志桜ちゃんだ」
英輔はへりくだるような笑みを志桜に向けた。
「やっぱりね……うちの愛奈ではさ、先方が気を悪くするかもしれないからさ。ここは神室本家のお嬢さんである志桜ちゃんでなくちゃね」
英輔はそんなふうに志桜を持ちあげた。
まるきり嘘ではないだろうが、かわいい愛娘をビジネスの道具にはしたくないという本音もきっとあるだろう。
(当然よね。それに、この状況を招いたのは私のお父さんなんだもの。愛奈に押しつけるわけにはいかないわ)



