悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない

「はい! とはいっても現代ではAIコンシェルジェはとくに目新しくもありません。なので、もっとキルッチーな打ち出しが必要かと」
「そのとおりだな」
「ですので、こちらの資料にあるとおり……」

 AIがどんな価値を提供してくれるのか? それをしっかりアピールするのが大切だと志桜は考えた。

「AIにデザイナーになってほしいんです。お客さまの顔立ちや肌の色に合わせた宝石を提案したり、カップルの思い出にちなんだデザイン提案をしたり」

 一文字に結ばれていた楓の口元が少しほころぶ。そんなふうに見えたのは、どうやら気のせいではなかったようだ。

「アイディアは悪くない。だが、懸念点もいくつか思いつくな」

 彼の指摘は核心を突く厳しいものだったが、志桜なりの考えや思いを丁寧に伝えた。
 楓はしばしの間考え込み、それからスッと志桜を見据えた。

「こちらの技術的には十分可能だ。近いうちに担当者を紹介しよう」
「ほ、本当ですか?」

 志桜は目を丸くして、思わず聞き返してしまった。それを見た楓が眉根を寄せる。

「なんだ。自信たっぷりに見えたが、そうでもなかったのか?」
「いえ、気合いも自信も十分ではありましたが……」

 彼の圧に押されて、答える志桜の声は小さくなる。