悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない

 両親を亡くし、信頼していた親族にも手ひどく裏切られた志桜にとって、なによりも嬉しい言葉だった。

「はい。ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願いします」
「志桜はどこもふつつかじゃない。世界一の奥さんだよ」

 ゆっくりと彼の唇が落ちてくる。志桜がそっと目を閉じようとしたとき、画面から明るい声が聞こえてきた。

『プロポーズ大成功ね! おめでとう、お幸せに!』

 ふたりの会話をばっちり聞いていたらしい彼女が、そんな祝福の言葉をくれた。
 志桜と楓は顔を見合わせ、同時にクスクスと笑い出した。

                                            FIN