悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない

「そうではなくて。その、これを見てください」

 彼女はまた別の資料をスッと楓のほうに滑らせる。今度は写真をカラーコピーしたもののようだ。あまり画質はよくない。が、そこに写る人物が誰なのかを認識して、楓は目をみはった。

「これは……」

 動揺で声がかすれる。
 写っているのは志桜だ。彼女がひとりでどこかの店に入っていく様子をとらえたものが一枚。残りの二枚は、金髪の男とのツーショットだ。ベッドのなかでシーツにくるまっている写真もある。

「この摘発されたバーに、志桜はよく遊びに行っていたみたいなんです。それに、いかがわしいドラッグを使用しているかもしれない彼とも、付き合いがあったようで」

 写真について、愛奈が説明する。彼女が言うには、志桜はこの店とも男とも深い関係があったとのこと。

「SNSに投稿されたこの写真が社内で話題になってしまって、きっとそのうち鷹井家のみなさんのお耳にも入るでしょうから。……私、楓さんが心配でっ」
「なるほど。これを知らせるためにわざわざ来てくださったのですね」

 意を決した。そんな表情で彼女はパッと顔をあげる。

「これが志桜の本性なんです。あの子、昔から男性関係が派手で……」

 楓がサンノゼにいた五年間にも色々あったのだと、愛奈は滔々と語る。