悪いことはしていない。でも、さすがにもう堂々と顔をあげてはいられなかった。志桜は逃げるようにエントランスを抜けて外に出る。その背中に「志桜!」と場違いに明るい声がかかる。振り返らなくても、声の主はわかる。今一番、会いたくない相手だ。
「愛奈」
悪魔の笑みがそこにあった。
「志桜の行きつけのお店、大変みたいね」
「行きつけなんかじゃないわ」
反論する声が怒りと絶望で震える。
「うふふ。こんなにおもしろい展開になるとは私も想定外だったなぁ。尻軽女のレッテルを貼ってあげるつもりだったのが、まさかのドラッグ使用疑惑までついてくるなんて!」
バーの摘発はさすがに愛奈の仕業ではなく偶然だったようだ。でも、運まで彼女に味方するのかと、志桜の絶望はより深くなった。
クスクスという彼女の笑い声は、やがて勝ち誇ったような高笑いに変わる。
「こうなったら、いくら責任感の強い楓さんでも、さすがに志桜を捨てるしかないわよね? 自身の会社だって危うくなるもの」
悔しいけれど、愛奈の言うとおりだ。志桜がグッと下唇を噛み、爆発しそうな彼女への憎悪をどうにかこらえた。愛奈はポンと志桜の肩を叩く。
「安心して、志桜。私が代わりに楓さんの妻になって、KAMUROと鷹井家の縁は守るからね」
「愛奈」
悪魔の笑みがそこにあった。
「志桜の行きつけのお店、大変みたいね」
「行きつけなんかじゃないわ」
反論する声が怒りと絶望で震える。
「うふふ。こんなにおもしろい展開になるとは私も想定外だったなぁ。尻軽女のレッテルを貼ってあげるつもりだったのが、まさかのドラッグ使用疑惑までついてくるなんて!」
バーの摘発はさすがに愛奈の仕業ではなく偶然だったようだ。でも、運まで彼女に味方するのかと、志桜の絶望はより深くなった。
クスクスという彼女の笑い声は、やがて勝ち誇ったような高笑いに変わる。
「こうなったら、いくら責任感の強い楓さんでも、さすがに志桜を捨てるしかないわよね? 自身の会社だって危うくなるもの」
悔しいけれど、愛奈の言うとおりだ。志桜がグッと下唇を噛み、爆発しそうな彼女への憎悪をどうにかこらえた。愛奈はポンと志桜の肩を叩く。
「安心して、志桜。私が代わりに楓さんの妻になって、KAMUROと鷹井家の縁は守るからね」



