「あっ。もしかして、例の新人ちゃん? 教育係は大変だと思うけど、〝使えない〟なんて言っちゃダメよ」
最後のひと言だけ、やけに大きな声だった。そこだけ聞けば、志桜が蘭に「使えない」と文句を言っているように思えるだろう。広報部のメンバーが盗み見るような視線を志桜に注いでくる。
「やっぱり神室さんって……」
「偉そうにねぇ」
(さりげなくディスる。これが結城さんの言っていた愛奈の策略なの?)
志桜はキッと愛奈を見据え、彼女に負けないよう周囲に聞こえる声で主張した。
「私、そんなこと言っても、思ってもいない。誤解を招くような発言はやめて」
志桜の言葉に周囲がざわつく。愛奈の頬にカッと朱が走り、彼女がイラ立ったのが見て取れた。
「愛奈、少し話せない?」
志桜が促すと、彼女は黙ってついてきた。あまり人の来ない、自動販売機と丸テーブルの置かれた休憩スペースで彼女に向き直る。
「おばさまは大丈夫だった?」
愛奈のお弁当はいつも母親のお手製だった。料理嫌いの愛奈は自分では作らないから、今日のランチがお弁当だったということは、深刻な状況ではなかったのかもしれない。
「ママ? なんの話?」
にっこりと、とても無邪気にほほ笑みながら、彼女は志桜を絶望という名の谷底に突き落とした。
最後のひと言だけ、やけに大きな声だった。そこだけ聞けば、志桜が蘭に「使えない」と文句を言っているように思えるだろう。広報部のメンバーが盗み見るような視線を志桜に注いでくる。
「やっぱり神室さんって……」
「偉そうにねぇ」
(さりげなくディスる。これが結城さんの言っていた愛奈の策略なの?)
志桜はキッと愛奈を見据え、彼女に負けないよう周囲に聞こえる声で主張した。
「私、そんなこと言っても、思ってもいない。誤解を招くような発言はやめて」
志桜の言葉に周囲がざわつく。愛奈の頬にカッと朱が走り、彼女がイラ立ったのが見て取れた。
「愛奈、少し話せない?」
志桜が促すと、彼女は黙ってついてきた。あまり人の来ない、自動販売機と丸テーブルの置かれた休憩スペースで彼女に向き直る。
「おばさまは大丈夫だった?」
愛奈のお弁当はいつも母親のお手製だった。料理嫌いの愛奈は自分では作らないから、今日のランチがお弁当だったということは、深刻な状況ではなかったのかもしれない。
「ママ? なんの話?」
にっこりと、とても無邪気にほほ笑みながら、彼女は志桜を絶望という名の谷底に突き落とした。



