カードを返してくれた彼のニッという笑みが、なぜか心に引っかかる。
(なんだろう、すごく嫌な感じがした)
説明のできないモヤモヤを抱えながら、志桜は逃げるようにエレベーターに駆け込んだ。
翌日。月末が締切の書類仕事が立て込んでいるのだけれど、志桜はどうにも仕事に集中しきれずにいた。
(ナズナさんとのアポは来週。愛奈の勘違い? それとも――)
「神室さん、神室さーん」
「え、あっ。ごめん、結城さん。どうかした?」
「定例会議、始まっちゃいますよ。そろそろ会議室に移動しないと」
「わっ。本当だ」
志桜は慌てて会議資料を手に、席を立つ。
「今日、神室さんからひとつも注意を受けてないから、なんか調子狂っちゃいます」
蘭はおどけた様子でそう言ったけれど、心配してくれているのが伝わった。
(お昼休みになったら愛奈のところへ行ってみよう)
会議が終わるとその足で志桜は広報部に寄ってみた。母親の件で、今日は休んでいるかもと思ったが愛奈は席にいた。
デスクでお弁当を食べている彼女に近づき、声をかける。
「愛奈」
「おつかれさま、志桜。深刻そうな顔して、どうしたの?」
彼女は母親の件もナズナの件も、話題にしない。嫌な予感が昨日よりずっと色濃く志桜の胸を覆い尽くす。
(なんだろう、すごく嫌な感じがした)
説明のできないモヤモヤを抱えながら、志桜は逃げるようにエレベーターに駆け込んだ。
翌日。月末が締切の書類仕事が立て込んでいるのだけれど、志桜はどうにも仕事に集中しきれずにいた。
(ナズナさんとのアポは来週。愛奈の勘違い? それとも――)
「神室さん、神室さーん」
「え、あっ。ごめん、結城さん。どうかした?」
「定例会議、始まっちゃいますよ。そろそろ会議室に移動しないと」
「わっ。本当だ」
志桜は慌てて会議資料を手に、席を立つ。
「今日、神室さんからひとつも注意を受けてないから、なんか調子狂っちゃいます」
蘭はおどけた様子でそう言ったけれど、心配してくれているのが伝わった。
(お昼休みになったら愛奈のところへ行ってみよう)
会議が終わるとその足で志桜は広報部に寄ってみた。母親の件で、今日は休んでいるかもと思ったが愛奈は席にいた。
デスクでお弁当を食べている彼女に近づき、声をかける。
「愛奈」
「おつかれさま、志桜。深刻そうな顔して、どうしたの?」
彼女は母親の件もナズナの件も、話題にしない。嫌な予感が昨日よりずっと色濃く志桜の胸を覆い尽くす。



