こんな時間に彼の家を訪ねる意味を考えなかったわけではない。けれど……志桜はこくりと小さくうなずいて言う。
「ガトーショコラには、コーヒーのほうが合うかもしれません」
「そうか。じゃあコーヒーにしよう」
外気は冷たいのに、彼と繋いだ右手はやけに熱くて、鼓動はその速度を増すばかり。
楓が日本で暮らす部屋は、鷹井AIラボの本社ビルからもほど近い汐留エリアのタワーマンション。エントランス周りには緑も多く、高級ホテルのような落ち着いた雰囲気だ。
「サンノゼの家と比べると手狭だが」
そんなふうに言って、彼は志桜を部屋に招き入れてくれた。廊下にはやっぱりジグソーパズルが飾られていて、奥には日本の住宅としてはありえない広さのリビングルーム。
タワーマンションならではのカーテンレスのガラス窓の向こうには、きらめく都心の夜景は広がっている。
「素敵なお宅ですね」
「どうも。俺は神室家のような和風建築のほうが好きだけどな」
以前に家まで迎えに来てもらったので、楓は志桜の家を見たことがあった。
「ありがとうございます。でも、古い一軒家は管理が大変ですよ。夏なんか、ちょっと放っておくと庭があっという間に雑草だらけに」
「呼んでくれたら手伝うよ。草むしり」
「ガトーショコラには、コーヒーのほうが合うかもしれません」
「そうか。じゃあコーヒーにしよう」
外気は冷たいのに、彼と繋いだ右手はやけに熱くて、鼓動はその速度を増すばかり。
楓が日本で暮らす部屋は、鷹井AIラボの本社ビルからもほど近い汐留エリアのタワーマンション。エントランス周りには緑も多く、高級ホテルのような落ち着いた雰囲気だ。
「サンノゼの家と比べると手狭だが」
そんなふうに言って、彼は志桜を部屋に招き入れてくれた。廊下にはやっぱりジグソーパズルが飾られていて、奥には日本の住宅としてはありえない広さのリビングルーム。
タワーマンションならではのカーテンレスのガラス窓の向こうには、きらめく都心の夜景は広がっている。
「素敵なお宅ですね」
「どうも。俺は神室家のような和風建築のほうが好きだけどな」
以前に家まで迎えに来てもらったので、楓は志桜の家を見たことがあった。
「ありがとうございます。でも、古い一軒家は管理が大変ですよ。夏なんか、ちょっと放っておくと庭があっという間に雑草だらけに」
「呼んでくれたら手伝うよ。草むしり」



