楓が愛奈に対して抱いていた印象を、的確に表している。かわいらしい顔で笑っていても、
愛奈の瞳はギラリと鋭い光をたたえていた。金や権力や名誉を欲するハイエナの目だ。
そして、楓はよく似た瞳を過去にも見た覚えがある。
(似ているのは当然かもしれない。ふたりは……実の父娘なのだから)
愛奈の父、KAMUROの現社長である萩田英輔とは何度か顔を合わせている。初めて会ったのは、志桜との縁談が持ちあがった頃。Kマシェリという若年層向けのブランドを立ちあげたい、それに協力してほしいと彼が鷹井家に頼みに来たときだった。
思えば、あのとき自分は彼にかすかな違和感を覚えたのだ。
志桜の父が温めていたはずのプランを、まるで自分の発案かのように彼が語ったから。
実は楓は一度だけ、志桜の父と言葉を交わしたことがある。彼が亡くなる半年くらい前だっただろうか。財界の誰かが主催したパーティーで、そういう場が苦手な者同士、会場の隅でぽつりぽつりと言葉を交わした。
楓が鷹井の人間だと知ると、彼は楽しそうに目を輝かせてこう言ったのだ。
『まだ内緒にしておいてほしいんだが、実はKAMUROもオンライン販売を始めたいと計画しているところでね。プランが固まった暁には、ぜひ鷹井さんに話を聞いてもらいたい』
(傾きかけていたKAMUROを復活させたKマシェリ事業は彼の、志桜の父の肝いりだったはず)
けれどあの日、英輔は自分が苦心して立ちあげた企画だと言った。
当時の楓は、彼と社長である志桜の父がふたりで準備を進めてきたのだろうと脳内補完して深く考えもしなかったが……。
「園村。ちょっと調べたい案件が出てきたんだが、協力してくれるか?」
愛奈の瞳はギラリと鋭い光をたたえていた。金や権力や名誉を欲するハイエナの目だ。
そして、楓はよく似た瞳を過去にも見た覚えがある。
(似ているのは当然かもしれない。ふたりは……実の父娘なのだから)
愛奈の父、KAMUROの現社長である萩田英輔とは何度か顔を合わせている。初めて会ったのは、志桜との縁談が持ちあがった頃。Kマシェリという若年層向けのブランドを立ちあげたい、それに協力してほしいと彼が鷹井家に頼みに来たときだった。
思えば、あのとき自分は彼にかすかな違和感を覚えたのだ。
志桜の父が温めていたはずのプランを、まるで自分の発案かのように彼が語ったから。
実は楓は一度だけ、志桜の父と言葉を交わしたことがある。彼が亡くなる半年くらい前だっただろうか。財界の誰かが主催したパーティーで、そういう場が苦手な者同士、会場の隅でぽつりぽつりと言葉を交わした。
楓が鷹井の人間だと知ると、彼は楽しそうに目を輝かせてこう言ったのだ。
『まだ内緒にしておいてほしいんだが、実はKAMUROもオンライン販売を始めたいと計画しているところでね。プランが固まった暁には、ぜひ鷹井さんに話を聞いてもらいたい』
(傾きかけていたKAMUROを復活させたKマシェリ事業は彼の、志桜の父の肝いりだったはず)
けれどあの日、英輔は自分が苦心して立ちあげた企画だと言った。
当時の楓は、彼と社長である志桜の父がふたりで準備を進めてきたのだろうと脳内補完して深く考えもしなかったが……。
「園村。ちょっと調べたい案件が出てきたんだが、協力してくれるか?」



