悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない

「結城さん。さっき、かばってくれてありがとう」

 純粋に嬉しかった。だから感謝を伝えたのだけれど……。蘭はちょっと怒ったような顔になって、志桜にすごむ。

「神室さん、なんで怒んないんですか?」
「え?」

 キョトンとする志桜に蘭は呆れたようなため息を落とす。

「さっきの萩田さん、めちゃくちゃあざとくないですか? しれっと神室さんをさげて、自分の株をあげようとして」

 蘭はひどく憤慨している様子だった。

「考えてみると、あの人、いつもさりげな~く神室さんをディスってる気がするんですよ。ほら、前の企画部と広報部の合同懇親会のときだって」

 志桜をワガママなお嬢さま扱いして、社長令嬢なのに気がきく自分を全力アピールしていた。あの日のことを蘭はそんなふうに振り返った。

「あのときは気づかなかったけど、私もその策略に使われてたように思います。あぁ、腹が立つ!」

 蘭はキッと志桜を見据え、きっぱりと言う。

「小学生のイジメと同じですよ」
(イジメ……愛奈が?)

 喉がヒュッと嫌な音を立て、胸がバクバクと不規則にざわめき出す。

「私の経験上、あの手の女は一番ヤバいから、ちゃんと反撃したほうが――」
「へ、変なこと言わないで」