サンノゼから帰国した志桜の日常には、ちょっとした変化が起きていた。
楓から時々メッセージが届くようになったのだ。仕事の話ではなく【カレーを作ってみた】とか、そんな他愛ない内容だ。婚約破棄したい、そう言ったくせに……彼からの連絡を拒むどころか嬉しく思っている自分がいた。
(楓さんとの関係をどうしていきたいのか、きちんと考えて答えを出さないと)
「あっ、神室さん。そろそろイケメン婚約者が来る時間ですよ! メイク直し、行かなくて平気ですか?」
ミルクティー色の髪を揺らして、蘭がにんまりと笑いかけてくる。
「……行きません。それから取引先の方を妙なあだ名で呼ばないように」
「はぁい」
クスクスと蘭は笑う。志桜の反応をおもしろがっている様子だ。
今日も鷹井AIラボから楓と雄大が来てくれた。広報の話もあるので愛奈も同席する。
「お忙しいところお時間をいただき、恐縮です」
「いえ、こちらこそ」
以前と変わらないビジネスライクな会話。でも確実に楓と志桜の心の距離は縮まっている。それは傍目にもあきらかだったのかもしれない。雄大と蘭が露骨にニヤニヤしている。
KマシェリにAIを利用したサービスを導入する企画案はもう大詰めの段階に入っていた。愛奈が今日の打ち合わせのための資料をふたりに渡す。
「今日はその資料に沿って進めていけたらと……」
「ありがとう」
楓から時々メッセージが届くようになったのだ。仕事の話ではなく【カレーを作ってみた】とか、そんな他愛ない内容だ。婚約破棄したい、そう言ったくせに……彼からの連絡を拒むどころか嬉しく思っている自分がいた。
(楓さんとの関係をどうしていきたいのか、きちんと考えて答えを出さないと)
「あっ、神室さん。そろそろイケメン婚約者が来る時間ですよ! メイク直し、行かなくて平気ですか?」
ミルクティー色の髪を揺らして、蘭がにんまりと笑いかけてくる。
「……行きません。それから取引先の方を妙なあだ名で呼ばないように」
「はぁい」
クスクスと蘭は笑う。志桜の反応をおもしろがっている様子だ。
今日も鷹井AIラボから楓と雄大が来てくれた。広報の話もあるので愛奈も同席する。
「お忙しいところお時間をいただき、恐縮です」
「いえ、こちらこそ」
以前と変わらないビジネスライクな会話。でも確実に楓と志桜の心の距離は縮まっている。それは傍目にもあきらかだったのかもしれない。雄大と蘭が露骨にニヤニヤしている。
KマシェリにAIを利用したサービスを導入する企画案はもう大詰めの段階に入っていた。愛奈が今日の打ち合わせのための資料をふたりに渡す。
「今日はその資料に沿って進めていけたらと……」
「ありがとう」



