そういう女性には数多く出会ってきた。彼女たちは楓の中身には興味がない。財産と御曹司の妻という肩書きが手に入れば、それで満足してくれる。恋愛や結婚を自身の目的のための〝手段〟として割りきれる人間。思考回路も行動原理も理解しやすいし、楓はその手の女性が嫌いではなかった。むしろ、自分のような人間がどうしても結婚しなければならない場合はそういう女性を選ぶべきとすら思っていた。
しかし、志桜はどう見てもそういう女性ではない。
まだ若く未来がある身なのに、あらがえない運命を受け入れ、責任を果たそうと必死に耐えている。そんな姿勢が伝わってくる。
楓のなかに、ひとつの思いが湧きあがった。
彼女を不幸にしたくない、時代錯誤な政略結婚から解放してやりたい。……望むままに生きてほしい。
二十五年の人生で、こんなふうに誰かの幸せを願ったのは初めてだった。
楓はすぐに父を言いくるめて五年の猶予期間を得た。
確実に自由にしてやれる保証はないので、志桜本人には「君が大人になった五年後くらいにあらためて相談しよう」と伝えはしたが、顔合わせから帰宅するときにはもう、絶対に志桜を解放してやろうと心に誓っていた。
しかし、志桜はどう見てもそういう女性ではない。
まだ若く未来がある身なのに、あらがえない運命を受け入れ、責任を果たそうと必死に耐えている。そんな姿勢が伝わってくる。
楓のなかに、ひとつの思いが湧きあがった。
彼女を不幸にしたくない、時代錯誤な政略結婚から解放してやりたい。……望むままに生きてほしい。
二十五年の人生で、こんなふうに誰かの幸せを願ったのは初めてだった。
楓はすぐに父を言いくるめて五年の猶予期間を得た。
確実に自由にしてやれる保証はないので、志桜本人には「君が大人になった五年後くらいにあらためて相談しよう」と伝えはしたが、顔合わせから帰宅するときにはもう、絶対に志桜を解放してやろうと心に誓っていた。



