「君はまだ学生だった。成人済みとはいえ、社会を知らないまっさらな状態だ」
その点は彼の言うとおりなので反論はできない。すでに社会人だった彼からすれば自分は子どもで、女性として見るのは難しかっただろう。
「俺はともかく、君に時代錯誤な政略結婚を押しつけるようなマネは絶対にしてはいけないと思った」
入籍も早いほうがいいととすすめる両家に対して、楓は『志桜が二十五歳になるまでは婚約期間、籍は入れない』と主張して譲らなかったそうだ。
両家の調整は楓と叔父の英輔に任せきりで、志桜自身はそういった経緯はいっさい知らなかった。
「五年の猶予期間を得た俺は、円満に婚約破棄できるよう準備を進めてきた。鷹井家が神室との縁談で得るはずだった利益を鷹井AIラボの成功で埋めればいいと考えて」
楓は愛人の子である自分を御曹司として育ててくれた鷹井家には恩を感じていて、あの家に不義理なマネはできなかったと自身の立場を説明してくれた。
父の失態をカバーするために縁談を断れなかった志桜の事情と重なる部分もあり、そこは理解できた。
「俺は大人として、君を解放してやらないといけないと思っていた」
「……私のためだったんですか?」
その点は彼の言うとおりなので反論はできない。すでに社会人だった彼からすれば自分は子どもで、女性として見るのは難しかっただろう。
「俺はともかく、君に時代錯誤な政略結婚を押しつけるようなマネは絶対にしてはいけないと思った」
入籍も早いほうがいいととすすめる両家に対して、楓は『志桜が二十五歳になるまでは婚約期間、籍は入れない』と主張して譲らなかったそうだ。
両家の調整は楓と叔父の英輔に任せきりで、志桜自身はそういった経緯はいっさい知らなかった。
「五年の猶予期間を得た俺は、円満に婚約破棄できるよう準備を進めてきた。鷹井家が神室との縁談で得るはずだった利益を鷹井AIラボの成功で埋めればいいと考えて」
楓は愛人の子である自分を御曹司として育ててくれた鷹井家には恩を感じていて、あの家に不義理なマネはできなかったと自身の立場を説明してくれた。
父の失態をカバーするために縁談を断れなかった志桜の事情と重なる部分もあり、そこは理解できた。
「俺は大人として、君を解放してやらないといけないと思っていた」
「……私のためだったんですか?」



