悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない

 気が遠くなるほど時間がかかりそうだ。彼がパズルに取り組んでいるシーンを想像したとき、ふと志桜の脳内でなにかが繋がった。

(コーヒー、ジグソーパズル。私の誕生日プレゼントをセレクトしたのは園村さんじゃなかった。ということは……)

 チラリと彼を見て、尋ねる。

「あの、昨年の私の誕生日にパズルをプレゼントしてくれましたよね。一昨年はコーヒーミル。もしかして楓さん自身が好きなものを選んでくれたんですか?」

 ぴたりと彼は動きを止める。それからバツが悪そうに、スッと視線を斜め下に落とした。

「俺は君のことをなにも知らないし、一般的に女性が好むもの……というのも、正直よくわからない。園村に任せるのがベストな選択だったかもしれないが」

 そこで彼は顔をあげて、まっすぐに志桜を見つめた。

「それは違うような気がしたんだ。贈りものは自分で選ぶべきだろうと」

 志桜の心臓がコトンと音を立てて動いた。案外と不器用な彼の誠実な思いが伝わってきて、不覚にも胸がキュンと高鳴る。

「……どんな気持ちでパズルとコーヒーミルを?」