えっと……今坂くん、来ないっ……。

十五分くらい校門で待っているけれど、今坂くんどころか、誰も来ていない。

だ、誰か来て〜……!

すると、校舎の方向から、足音が聞こえた。

まさか……っ!

そこにいたのは、正真正銘、今坂瀬名だった。

やっと、来たっ……!



「今坂瀬名くんっ」



いつもより一オクターブ声を高くして、彼の名前を呼ぶ。

はあ……ほんと、かっこいい……。

…………じゃ、なくって!



「初めまして、B組の乙瀬ゆあですっ!一目惚れしました……!ゆあと、付き合ってくださいっ」



顔を下げてから、また顔を上げる。