ある日のホームルーム。

ゆあこと、乙瀬ゆあ《おとせゆあ》は、教科書を通学用バッグに詰めていた。



「ねえ、ゆあ。今日、バスケ部見に行かない?」



親友であり、ゆあの幼馴染みでもある、クラスメートの桜井ろっかが話しかけてきた。



「誰かいるの?」

「え……ゆあ、知らないの!?うちの学年……いや、うちの学校一のイケメン・今坂瀬名《いまさかせな》がいるんだよ!?」



ああ……。思い出した。

今坂瀬名。

隣のクラスで、一年生ながら、バスケ部のエースである。

イケメンにそんなに興味がないろっかでさえ「イケメン」と称賛しているのだから……当然、顔が整っている。



「……まあ、いいやっ。イケメンならいくよ!」