この何気ないペンの貸し借りで判明した、
イケメン君の名前が山田《やまだ》壱也《いちや》だということ。
クラスの9割が女子で、
先程まではしゃいでいた女子たちもイケメン君に目をトロンとしている。
まるでイケメン君と話しをしているだけで、
勝ち組になった気分の俺は誇らしげに胸を張っていた。
この機を逃さまいと、
出身地やしていた部活動、
あらゆる彼の情報を聞き出した。
これってもう友達になったってことでいんだよね?
どっちがサッカーゲーム強いかで、
ただいま白熱してますよ。
俺が、俺の方がで、
きりのない論争を繰り広げ、
埒が開かないからこの後、
家来てやる?みたいな胸熱展開ありがとうございます。
ただいま太郎ちゃんによる為になる大学生活の説明なんて今はどうだってよくて、
お互いの呼び名を何て呼び合うか、
恋人みたいな掛け合いをしていると、
イケメン君のことは『だっちん』、
俺のことは『りょうちん』と呼び合うことで決着がついた。
あだ名で呼び合うだけで、
あら不思議、
グッと距離が縮まったみたい、
何の種も仕掛けもありません。
今、だっちんと一番仲が良いのは俺ですからと、
マウントを取らせていただこう。
空き時間には、連絡先も交換した。
はい、
これでもう俺たちは完全に友達だ。
仲睦まじい関係に、
指を咥えて傍観してるがいい。
俺たちが声うるさく盛り上がる度に、
腹を抱え大笑いする度に、
一グループずつ下心を丸出しにして寄ってたかってくる。
俺たちを中心に編み出されていくクラスの勢力図が強度の地盤のように築き上げられ、
上から眺める景色は最高だった。


