人生クレイジー




「あれ!?何かの集まり?」



笑顔で部屋へと戻って来たヤギちゃんが、

躊躇うことなく、

先ほどまで目立っていた空席へと座る。


俺は迷わず思ったことを口にしていた。



「ごめん、席替え希望!」



まるでキャバクラ嬢の指名替え、

それも女の子チェンジでみたいな悪ノリが発動した。


身体が自然と立ち上がる。


だけど皆んな、

立ち上がろうとはしないから、

しばらくこのままっぽい。


王様ゲームしよう、

枕投げしよう、

必死の抵抗がナイスアイデア賞となり、

採用されることとなる。


濱ちゃんと同じ班であだ名が『実頼《みより》』の藤田《ふじた》実頼に、

かっつーと同じ班であだ名が『あゆまる』の池谷《いけたに》愛由美《あゆみ》はフレンドリーな性格ですぐに打ち解けられた。



王子ゲームが始まり、

見事、

王様となっただっちんは悪意ある命令を下す。



「じゃあ、3番と7番がそこにあるポッキーを使って、ポッキーゲーム。

んで、チキって最初に離れた奴が好きな人暴露!

もし、おらんかったら、この中から選べよ」



なんとまぁ非人道的な王様なんだ、

俺とマチコが息を潜めるようにして目があった。


どうやら俺とマチコらしい。


俺はいいが、

マチコは物凄く拒んで来る。


いくら相手が男だからと言って、

そんなにガッカリするなよ、

の俺に対して、

男が好きなりょうちんがポッキーゲームを境に、

俺のことを好きになってしまったらと焦るマチコ。


2人の思い違いは解消されることなく、

いざ、

ポッキーゲームが始まった。



2人とも最後まで粘るも、

恥ずかしくなって笑い吹き出し、

先にポッキーから離れてしまう俺は、

このあとの罰ゲームを回避できないらしい。


好きな人がいるわけでもないし、

この中からも選べない俺に、

「マチコのこと好きになったんじゃない?」と揶揄いの野次が飛んで来る。


それだけはないと強く否定できるが、

ここは一発笑いに変えておこう。



「俺、今のでマチコが好きになったかも」



本気で思っているかのような、

ときめいた表情で優しくそっと添えるような言い方に、

これは主演男優賞を受賞してもおかしくない。


笑い転げる仲間をよそに、

マチコだけがどんよりしている。


俺たちはこうして一泊二日のレクリエーションを楽しみ、

最後まで子どものように燥いだのだった。