よし、
今から面白く自己紹介してやる、
そう思っていたら、
マチコが、
「来るで来るでー、面白いのがー」と魔を差した。
咄嗟にボール球《今じゃない》だと判断した俺は、
バットを振るのを急停止させ、
次の球《タイミング》に全てをかける。
「世界一おもろいのよろしく。おもろかったから俺もそれ使わしてもらうから。さあ、言ってやれー」
やめてくれ、
こういう一発ギャグみたいな感じ、
初めてなんだから。
またタイミングを失ってしまったが、
俺は勇気を振り絞って言ってやった。
「どうも〜日本一、スイカの種を飛ばせる男で歩くラマこと、中岡亮介で〜す。
みんなからは『りょうちん』、妹から介兄《すけにい》って呼ばれまてま〜す。
どうぞよろしくお願いしま〜す」
確かめるまでもない、
案外ウケてる。
言う前から笑っちゃってるだっちんに、
どうしたらそんなにも大声で笑えるんだっていうぐらい大笑いするマチコ。
極めつけは、
何度も思い出し笑いするかのように、
吹き込む彼だろう。
俺の笑いを、
世の中に知らしめた。
そんな感じがして、
なんとも心地が良い。
だが、
自分の名前は勝根《かつね》豊《ゆたか》だと、
サクッと紹介する彼に俺は納得ができない。
俺もしたんだ、
同じく面白い自己紹介をしてみろと、
彼に強要するも、
俺はそんなキャラじゃないと、
上手い具合に切り抜けられる。
ふざけるな。
どうにかしてでも自己紹介をやらせたい俺は再度、
促すが彼は軽くあしらう。
彼は自分のあだ名が『かっつー』だとしかだけ言わない。
さらには俺の自己紹介が面白すぎて、
やる前から敵わないという。
ふん、
そこまで言われたら悪い気はしない、
今回は見逃してやろう、
俺は単純なのだ。
そんな感じで仲良くすることになったかっつーや濱ちゃんを加えて、
俺たち〝最悪の世代〟は、
先輩や同級生から怖がれ、
逆に親しまれる存在になっていくのだ。


