アパートで一人暮らしをしている大学2年の俺は、

部屋に残されたヒントを頼りに、

今一度、

散らかった棚を整理するかのように、

食べたであろう犯人を探すことにした。



まず、

脱ぎ捨てられたズボンのポッケから出てきた某《ぼう》居酒屋の靴箱の鍵、

それから卓下に落ちてある高級ブランドの口紅、

最後は親友から送られてきたショートメッセージ。



どうやら俺は呑み会で大量のお酒に溺れてしまい、

派手にやらかした模様。



どうやって帰って来たのかさえも思い出せない上、

見知らぬ所持品にただただ動揺を隠すことができないでいた。



それに頬を床にしばらく付けた状態で寝ていたからなのか、

頬は真っ赤に染まり、

ヒリヒリと疼いて、

なんとも見るに耐えれない。



まぁ、

路上で寝ずに帰っただけ誇らしいことだよ、

今はそうやって自分を励ますことに専念している。



とりあえず、

身に覚えのない口紅は何やら思い出さない方が良さそうだから、

真っ先に隠滅《いんめつ》しておこう。