「シンデレラ役は…………なっちゃん!」
フゥー、助かった。
渾身のガッツポーズを決める俺に、
ヤギちゃんはおじさんみたいな太い声で「おい!」と叫んでいる。
そんなの無視無視、
安堵の胸を撫で下ろす俺に、
少しだけ時間をくれ。
ヤギちゃんがシンデレラ役ではないことに喜びで浸たっていた時、
マイマイは言いづらそうにまた口を開く。
「と……ヤギちゃん。二人でシンデレラしよう」
はい?
二人?
意味分かんない。
ヤギちゃんもシンデレラ役だということに困惑し、
椅子から崩れ落ちた。
「おい!」
またヤギちゃんの太い声が聞こえてくる。
今度ははっきりと耳の奥に残るほど。
「ヤギちゃん頑張ろうね。二人だと心強いや」
急に天国から地獄へと突き落とされた気分の俺は、
なっちゃんが嬉しそうにヤギちゃんと話をしているのをボーっと眺めていた。
王子とシンデレラが決まり、
それ以外は本当に適当な感じで音響担当にマイマイ、
シンデレラを虐める母と姉二人は残りの三人がすることに。
レクリエーションの演し物は『死ンデレラ〜王子は姫より男好き〜』となり、
面白おかしく物語を進めていく形となった。


