背もたれのない椅子はどうも苦手で、
背中に溜まった痺れが鬼胎と共に波打ち、
上から見下ろしていた自分の立ち位置までもが不安定になるのではないかと憂慮する。
まだ来ていない人が二人もいるみたいだけど、
同じ児童学科で同い年でないことだけを祈ろう。
そんな風に願っていたら、
後ろのドアから大きな音が聞こえ、
さっきまで赤原付を快走させていたヤンキー君が俺の目に映り込んでいた。
何かの間違いであってくれ、
俺はそう何度も呪文のように唱えるが、
ヤンキー君はその場から離れようとしない。
「遅れてすいませぇ〜ん」と悪びれた様子もなく、
空いた席に平然と座り込む彼を見て、
俺はもちろん、
クラスメイトたちが見てはいけないものを見たかのように、
二度見をする者、
目を逸らす者が続出していた。
周りの目というものが気にならないのだろうか、
教室内に異様な雰囲気を漂わせ、
ヤンキー君が座った隣の女の子なんて、
ヤンキーに対しての免疫が0だからブルブルと震えていた。
これ、
絶対に仲良くなれないタイプだな。
「町川《まちかわ》久継《ひさつぐ》くん?」
担任の太郎ちゃんは呆気に取られながらも、
名簿表にある名前を確認して、
素早く本人確認をしてみせる。
「はい!」
ヤンキー君は欠伸を一つ吐き出し、
堂々たる面構えに俺はぎょっとしていた。
怖いもの知らずで有名なラーテルのような強気な姿勢に、
目を合わすだけでゾクっと震えあがるような威圧感が恐怖へと変わっていく。
おそらく、
このクラスで天下を取るのは君だろう。
間違いなく、
クラスの誰しもが思ったに違いない。
俺とだっちんは目を合わせ頷き、
お互いを励ますように肩を叩き合った。
とんだクラスに入れられたものだ。


