『咲茉は小説を書いていて、MEBIUSの歌詞も書くことになったのね』
『う、うん。今まで黙っててごめんね』
『ふーん。じゃあ今度、わたしがMEBIUS全員から告白される逆ハー小説でも書いてもらおうかしら』
『わ、わかった。頑張ってみる⋯⋯!』
『冗談よ、冗談。そんなことよりMEBIUSに最高の歌詞を書いてよね。お⋯⋯応援してるから友達として』
『友達⋯⋯?』
『何、文句でもあるの?』
『な、ない! わたしも海音ちゃんのこと友達だと思ってる』
だから、本当のことを話したんだよ。と言うと、海音ちゃんは照れた様子でそっぽを向いた。
なんとなく一緒にいたわたしたちが、友達になった大切な日──。
長い廊下を歩いていると、壁際に並ぶ長蛇の列が目に入った。
「あれ、何に並んでるんだろう?」
「物販よ。グッズやCDを売ってるの」
「そうなんだ。MEBIUSのCDも売ってるのかな?」
「ええ。でも、たった今、今日の分は売り切れたらしいわ」
スマホでMEBIUSのアカウントをチェックする海音ちゃん。
他のお客さんもSNSの情報を見たのか、列からMEBIUS目当ての人が大勢離脱する。
学校内だけじゃなくて、学校外での人気もすごいんだ。



