「初めまして。編入してきた翠嵐うららです」

にこっと笑って言った。
いつもなら真顔で用件だけ言うけど今回はどれだけ晴らしく振る舞えるかが勝負。

気を抜かないように気をつけなきゃ。

『どうぞ、お入りください』

なんてロボットみたいな声。
いや、ロボットなのか?

「ふふ。ありがとうございます」

ここは満面の笑顔より控えめな微笑みの方が効果的。

ありがとうなんて思っちゃいないけど。
晴の人間ならきっとこうする。

あくまで晴に見えればいい。

怪しまれなければいい。

バレなければいいんだから大丈夫だ。