ちょっと不安だったけど、案外バレないのかも。

気を抜いてはいけないけど。

時計を見ると、8時半すぎ。
授業もあと少しで始まるだろう。

「席はどこですか、、?」

席を教えてもらわなければ私の席はない。
生徒が知ってるのかは知らないけどそしたらどこか適当に座ればいいだろう。

「ここ、座れば」

低めのゆったりとした声。話しかけてきたのは、ウルフカットの艶のある黒髪。

まつ毛で縁取られた緑がかった黒い瞳。

しなやかな体格で、ダボっとしたパーカーを制服の上からきている少年。

だけどどこか近寄りがたい雰囲気のある、有宮千夜(ありみや ちや)だった。

右京からもらった紙を見てみるとえ、と動きが止まった。

15歳。

2歳も年下、、?
そんな若いのになんでこの人こんなに、、。

そんな彼は自分の隣の席を指差した。

それよりも私は彼の瞳を見た。


なぜ、こんなにも諦めている?


なんでだ。この年で。このクラスであればそうなるかもだけどもこんなにも暗い。

このクラスだけのせいってわけでもなさそう。

雨の人間にも晴の人間に対して諦めているような目をした人は何人も何十人もいた。

でもこれほどな人はいない。