殴られた。

それと同時に周りの人はまた諦めたような表情をしている。
当たり前か、、。

そこそこ力が強くて、口の中が切れたのだろうか。

口から血が溢れ出る。鉄の味がする。

でも諦める意味はない。

そもそも雨の人間は自己回復力が高くこんな傷も一瞬で治るけど雨の人間だとバレてはいけない。

晴らしく、でも、E組にいるのだから多少無茶してもバレはしない。

最悪な役だけどいろいろと都合がいいこともあるな。

「あー、、胸糞悪ぃ、、!」

ガンッと教卓を叩き、出ていった先生。

胸糞悪いのはこっちだし、私も嫌いだよという言葉を飲み込んで、平常心を保つ。

教室には無言の空気が流れる。

「あ、あの、、これ、血、止めるのに、、」

優しそうな人が渡してくれたのはワンポイントの刺繍が入ったハンカチ。

「いいのですか、血がつきますよ」

「だ、大丈夫、、」

「ご親切にありがとうございます」

にこにこと笑いながら思い出した。

「そういえば、名前聞いてませんでした。名前なんですか?」

礼儀として1番大事なものを忘れていた。