少しして。
「入ってきてくれ」
中から声が聞こえた。

さ、なんでもいいからやろやろ。
バレなければいいんだし。

ーガラッー

この扉音結構鳴るな。
なんて場違いなことを思いつつも、そっと教室に入る。

最初から笑顔は不自然だ。

口元だけ微笑み、わざと目の力を抜いて鋭い目つきにする。

大丈夫だ。バレないバレない。
入った瞬間からバレるなんてことはないはず。

それに雨の人間に会ったこともほとんどないだろうし。

長めの瞬きをしてクラスを見渡した。

明らかに不良のような人。
何かに怯えている人。
ぐっすり寝ている人。
不満そうにしている人。
心配そうにこちらを見ている人。

さまざまだ。