ちょうどお昼の食事が運ばれてきた。

朝は何も食べていない。

レントゲンの検査の前というのもあるが左わき腹をテーブルに強くぶつけたようで、ひどい内出血のあとがあり内臓まで損傷していないかわかるまで飲み物も食べ物も禁止だったのだ。

先ほどの検査で内臓まで損傷していないと分かったので、昼は軽めだが食事が出たらしい。

リアムはその食事を見て由里の好きな和食を弁当にしてもらってくると言ったが、そんなに食べれないのでこれでいいと言ってリアムこそ何か食べてくるように言った。

機内でも軽いものを食べたのでお腹は減ってないと言って、由里が食べるのをじっと見ていた。

幸い負傷して縫ったのは左手なので右手で食べられるのにリアムが食べさせると言ってきかず、ずっとそばで由里の口に食事を運んでくれたり、ナプキンで口を拭ったり世話を焼いてくれた。

食事の後はちょっと出てくると言って病室を出て行った。そしてブラシを買ってきて由里の髪を梳いてくれた。

これで何日か入院になるとリアムに家から着替えなどを持ってきてもらうように、頼まなければならず。きまずい。

その後二人で担当医師から診察とレントゲンの結果を聞いた。

まず先生に昨日のお礼を伝えた。

ドクターキングレイは友人達と久しぶりにホテルのバーで、楽しんでいたらしい。

モデルのナタリアだとすぐにわかったらしいが、止める間もなかったとその状況をリアムに説明していた。

「彼女かなりお酒も入っていたけどヒステリックになっていたようだ。渾身の力であなたを突き飛ばした。２メートル位吹っ飛んで背中からテーブルに激突して床に頭から突っ込んだんだ。僕は脊髄損傷か頭蓋骨骨折のどっちかかと冷や汗が出たよ。でも無意識に身体を捻ったのがよかったんだね。左わき腹をテーブルの角で打ってぶっ飛んだ力が削がれて頭も脳震盪で済んだし背中も硝子の破片で傷つくくらいで済んだんだ。ほんとによかったよ。ひどいのは８針縫った腕の傷と足首の捻挫とわき腹の打撲だね。昔に骨折をしたことがあるんじゃない。同じ所だよ。気を付けないと癖になるよ。今回は捻挫だけど動かないようにもう少し腫れがひいたら固定しようと思う」

と先生は説明してくれた。

３０代後半の金髪碧眼の背の高いがっしりした素敵なお医者様だ。

足首の捻挫の固定が済めばすぐに退院してもいい。