後期が始め、三日間は経ち、委員会、係、席替え、掃除場所決めなどはもう済ましたものだ。前期は学級委員の中での級長ではあったが、後期からは生活委員になって、委員長となった。委員会仕事をやるのがとても楽しい。特にイベント作りが。
 でもしょうがないことに、後何ヶ月もしないうちに僕達は受験を受ける。そのため、委員会も部活も引退になってきて、後少しすれば高校生になる。僕はそれにたいし、とっくに前から対策を脳の中に作り上げ、今までそれをやり続けてきた。
 寝坊も休みも、まだ一回もしていなく。友人とふざけたりもするけど、切り替えてちゃんと授業に集中して受けている。提出物を一つも出し忘れていないし、綺麗な字で書いて提出している。だから、成績を落とせるようなことは今年度もしていない。
 この調子でいれば、受験で簡単に受かるだろう。次いで、この三年間の努力は有意義だったと、無駄ではなかったと、胸を張って言えれる。
 勉強はもちろん、去年よりもやっている。でも、だからって友人と遊ぶ暇を作れないとは限らん。時々だけ、翼や宏樹と一緒にカラオケへ行ったり、街をウロウロ歩いたりもする。それは、楽しみながらも頭を冷やす機会ともなる。時には勉強をやめ、外に出ることもいいのだ。

 「班長は誰がやる?」
 後期になって今回の僕の班には、僕、宏樹と女子二人がメンバーである。
 「数彦でいいんじゃない?」
 一人の女子がそう言って、皆僕に視線を向けた。
 また?君らは本当に僕が好きだな。憧れ?まぁ、僕なんだし、我慢できないみたいだね。こんな完璧な僕なんだからな。
 「数彦、それで良いか?」
 宏樹の手が僕の肩に乗る。僕は宏樹の質問にいつもと変わらない頷きをする。これで僕は班長となった。
 「では、僕が班長となったことですし、掃除場所を決めようか?皆はどこがお望みでしょう?」
 切り替えて、皆に尋ねる。
 「俺どこでもいいや」
 「えー、そんなことないんじゃない?トイレとかやりたくないやん?」
 「そうだよね。トイレやるの嫌だよ」
 「教室よりかはいいんじゃない?」
 「あ、あれだよね。加藤先生が担当だから」
 「ていうか、階段も嫌よね」
 僕を除いて、班の皆は雑談を始めた。
 トイレ、教室と階段が嫌だか。それ以外のものであればいいことみたいね。
 「じゃんけんで決めるらしいぞ」
 違う班のはずの翼が、僕たちの合わさった机まで近づいて語った。そんな彼に、僕か宏樹、誰かが何かを言う前に、すぐ去って行った。
 「班長でいいと思う」
 「賛成」
 「先に決めつけるなよ。数彦、任せていいか?」
 「あぁ、勝ってみせるよ」
 そう言った瞬間、皆はバケを見たような顔をして、僕を見つめ始めた。
 「え、えーと、顔に何かが付いているのでしょうか?」
 首を傾げて皆の目線の意味を考えてみる。が、何も思い付かない。間違えたことを言ったのだろうか?何か言い間違えた?
 なんでもないと一人の女子が言い、他の皆は彼女に続いて頷いた。
 皆どうしたんだ?まぁ、疑問に思っても答えは返ってこないみたいだから忘れるか。
 「任せたよ、数彦」
 席から立ち上がり、黒板前まで向かう。
 じゃんけん。運の良さで決まる。が、ある人たちには身体言語ゲームのようなもの。そのような人の内に僕は含まれる。
 『じゃんけんぽい』
 各班の代表をしている者同士。皆、望んでいるものがある。
 班の代表をする者が同時で声を合わせて手を出した。
 じゃんけんの結果、俺のボロ負け。そのため俺の班は階段掃除となった。今、絶対に班の皆に嫌がられている上に、まじで最悪で最低に階段はふた班に任され。俺らと一緒に掃除をする班は龍司が入っている班だ。
 「数彦どんまい」
 席に戻ってすぐ、宏樹が俺の肩に乗ってきた。
 「そうなると思ってたわ」
 「面白そうやん」
 女子達も宏樹と一緒に俺に煽ってきた。
 皆、絶対に怒っている。笑顔で顔に出さないけど、皆の中では悪口を次々に言っているだろうな。申し訳ない。本当に悪かった。
 班の皆で話し合って、掃除は毎曜日の交代交代でやることにした。掃除のある曜日は三つ。月、火、木である。
 今日は木曜日。掃除場所を決めてから一日しか経っていない今日、僕はほうき担当だ。
 トイレ横の階段近くに、僕の班ともう一つ一緒に掃除をする班のメンバー達が、全員いるかと見回して確認する。それをやる意味は僕が掃除班長だから。
 僕を含んで九人のはずが、階段前には八人しか集まっている。アイツがいないのだ。
 「龍司は?」
 自分の勘違えかもしれないから、近くにいる背が低くって違う班の女子にきいてみる。
 「山島くん?まだ来てないよ」
 アイツが先生に呼ばれる可能性ありありだから彼女にきいてみたが、呼ばれていないらしい。アイツはどこにいるんだ!?
 「おう、みんな遅れてすまん」
 手を頭の高さぐらいに挙げて振っている男が僕らの方まで向かってくる。ソイツは龍司だ。
 「山島、遅ぇよ」
 ある男子が言った。
 本当そう、龍司どこ行っていたの!?
 「龍司、次からはちゃんと時間を守るようにしてください」
 当然、苦笑いをする。
 頭をかいでた龍司は、僕にきつい目線で視線を向けられる。
 なんだコイツ!?何偉そうにしているんだよ!
 「どうしたんですか?」
 なんでもないと彼は言い、僕は切り替える。皆と挨拶をし、やっと掃除が始まる。
 思っていた通り、皆掃除中ずっと話して、集中も細かくも掃除をしない。

 「チリトリやるよ」
 彼がそう言った後、掃除の終わる予鈴がなる。違う班の男が僕に近づいて宣言した。
 「いいよ、僕に任せて」
 皆は使っていた道具などを持ちながら、教室に戻っていた。それにも関わらず、僕だけ残って、できるだけ素早くチリトリでゴミを拾う。
 「あっ」
 バランスを崩して、階段から落ちる。
 からだ全体か一部分だけを痛むはずだったが、何かの上に全身で落ちたみたいで、落下を和らげられる。
 それは、なんか柔らかく、暖かくて、小さい?僕の全身が床に触れるはずが、変わりに丸まった感じの小さな何かに触れている。
 柔らかく、暖かく、小さい?
 待って、嘘!これは人間なのか!?嘘、嘘、ウソ。違うものであるように、頼む!数彦の馬鹿、馬鹿、バカ!
 落ちそうになって、血が脳に通っていなかったのか、僕の下敷きになっているそれが何かに気づいていなかった。
 目をそうと開ける。
 彼の顔と僕のが、数センチしか離れていない距離で真正面にある。心臓が鼓動する音を全身で感じながら、その速さに自分の心臓は追っていく。彼の胸が上下と呼吸をするたびに動くのが、自分の胸に感じる。それは何よりも近く、親密的なものにも体感した?彼の小さくて、細い瞳から目を逸らせない。
 立ちたい、彼から離れてあげたい。が、僕の自体と彼の体が一つのように、合体したかのように、説明できない何かに感じる。これはなんだよ!?彼に夢中になったと言えるような、深く心から彼に触れたいと。そう思ってしまっている。これはなんだ?馬鹿なことを言うな、そんなことはあるかよ。僕はショックを攻撃されたことで、自分から立てれていないだけだ。きっと、そうだ。
 「おい、大丈夫か?」
 龍司の声は、いつものと違って聞こえた。滑らかで、優しい声と響いた。
 俺は何をしているんだ?いつまでコイツの上にいるつもりだよ、数彦!?お前は馬鹿なのかよ?絶対に殴られるぞ。自分のせいだから、やり返しをしたら誤りだ。禁止だ!
 龍司、殴っていいぞ!怒っていいよ。でも、あんまり怒鳴らないで。じゃないと、他人に迷惑になるかもしれないからさ。それは嫌だから、何をしても良いから、あんま怒鳴らないで。というのは、わがままか。はぁ、これは絶対に喧嘩になるよな。またか。多分、初めて俺らの喧嘩でお前でなく、俺が間違っている側。おめでとう、ゴミ人間。今回はお前の勝利だ。
 自分の心の中でそのように思案する。
 「立てれる?」
 龍司の手が俺の腰回りを包み、彼はちょっとずつと、割れやすいものを抱えるように、そうと、優しく立ち、僕の肩に抱きついて、僕を立たせる手伝いをしている。
 離せよ!と言おうとした瞬間、龍司の目と一致する。彼は心配そうな顔をしている。
 どうしたんだよ。知っていると思うが、お前はな、僕が落ちたって気にしなくていい奴だぞ。というか、僕はお前を下敷にしたんだぞ!?怒らないの?自分の役目わかっているか?
 「怪我したところはないのか?」
 普通ならば、僕は叫び始め、龍司と喧嘩していたはずだったが、なんかそのような気にはいかなかった。
 「大丈夫。ありがとう。歩けれるから、教室戻ってていいよ」
 龍司の腕から離れる。
 すると、彼の左腕に目を引かれる。それは血にまみれていた。どうしたんだよ、馬鹿!俺の心配をするよりかは、自分の先にしろよ、馬鹿野郎!馬鹿、馬鹿、バカ!お前は本当にバカ!
 「来い、保健室に連れるよ」
 怪我の在はなさそうな、彼の右腕を引っ張りながら保健室へと早足で向かう。
 「なんでお前はそんなに馬鹿なの?」
 机の上にあった箱の中からいくつかの物を勝手に取り出す。その内の一つである消毒を馬鹿野郎が怪我した腕に塗る。
 彼は痛そうにしながらも、我慢をしているようにも見えた。
 「痛い?」
 コットンを持っている手を止めて、馬鹿の顔を覗き込む。彼は頭だけで頷いてくれた。
 声をなくしたのか?なんか言えよ。とは思っているが、声に出さない。
 「怒らないのか?僕がお前を怪我させたんだぞ」
 龍司の腕にバンドエイドを貼る。
 「わざとやったわけじゃない・・・・・と、思うから怒らない」
 えっ、待って。お前は本当に龍司なのか?
 龍司の腕に向いていた目を、彼の顔が見えるように視線を替える。
 龍司はベーグルのような顔をしていると同時に、真剣な顔でもあると感じた。
 さっきの熱い思いが全身に感じる。心臓がする鼓動もまた速くなってきた。
 「ごめん」
 我慢できない。触れたい。僕のものにしたい。
 なんだこれ!?脳がおかしくなった!
 龍司にキスができるくらいな距離まで近づく。なんでこんなに変な例えをしているのだろう?なんでこんなに熱いのか?なんで・・・・・
 「数彦!?」
 全てが暗くなり、すごく奥にはそんな声が聞こえた・・・・・気がする。

 夏風が窓から振いて、僕の髪を揺らす。
 先生が今、説明していることを聞きながらノートを写す。
  今回の授業は古文。俺が好きな課題の一つ。
  先生が教えていることはとっくに前から知っているが、何回見たって古文は飽きない。本当に面白いものだ。
 それにしても、先生の説明は声の影響か、すごく聞き取りやすく、わかりやすい。
 「先生ってさ、女いる?」
 僕からして、教室の反対側から声が聞こえてきた。その声も嫌らしい声。龍司の声だ。
 今回もまた、授業の途中からか。もう、お前の行動を読めれるレベルになってきたというのに、それでもムカつくのだけど。
 「言ったて、龍司の人生に何も変わらないだろ?授業に集中しなさい」
 先生はそう言って授業に戻ろうとするが、龍司はそれでも無理をして話に戻そうとする。
 「変わりますよ~。知りたくて授業に集中できないんす」
 「我慢すればいいんだ」
 「えー、じゃ先生てさ、中学生の頃どんな生徒だったん?」
 「おっ、俺も知りたい!」
 「気になる〜」
 他の人も龍司の話にのって、先生の授業を短くさせる作戦に取り組んできた。またこんなことを。しょうもないな。
 数十秒も経たない内に先生はその生徒たちの話にのって、若い頃の話をし始める。
 先生、なんで話にのれたのです?もう、毎回僕が頼りかよ。
 先生の話を途中できるため、思い切り手を挙げる。
 「先生、龍司の話にのらないでください。そのような雑談は授業後でやるべきではないでしょうか?今は授業中です。先生が授業をやらないと、困る人が散々いますので、授業に戻ってもらってもいいでしょうか?」
 そう言って、わざときつい視線で先生を睨む。
 「あっ、そ、そうですね。龍司、先生の話が聞きたかったら授業後で」
 ったく、先生はいつも龍司の話にのるんだから。本当に先生かって、ききたいくらいだよ。年の影響なのか?
 「数彦って、面白くない人だな〜」
 「はっ!?俺は明らかに正しい!面白いか面白くないのかは関係ないだろうが!」
 ニヤッとした、僕が大嫌いな笑顔を浮かべて、彼は俺に視線を向けた。
 しまった、コイツの話にのって、授業の邪魔を今している。
 席に立って、右方向に体を向ける。
 「あ、皆すみません。先生、授業を続けてください」
 気軽く皆に言い、また席に腰をかける。
 なんであの馬鹿野郎の話にのってしまうのだろうか?このままだと、優等生でなくなる。近藤先生と同じ状況。そうなっては困る。小さい頃から優等生として過ごしてきたのに、このゴミ人間のせいで、他人からの評価が低くなるのはごめんだ。

 次の授業は理科のため、移動教室である。
 廊下を翼たちと歩きながら教室まで向かっていたところ、資料集を教室に忘れていたことに気づき、彼らと別れ傍を離れた。多分使わないだろうけど、持っていて損はない。
 早歩きで教室まで向かい、自分の席の中から資料集を取り出す。
 教室を出ようとした瞬間、人の気配が教室の隅からした。その方向に目を通すと、一人ではないことに気づいた。
 「おい、お前、次は理科室だぞ」
 後ろのドア近くの席に、顔を防いでいる龍司に向かって言う。この言い方は、優しくも優等生が言う言葉遣いではないことは知っている。でもコイツにちゃんとした言葉遣いをしたって、意味がないことはとっくに前からわかっている。それに、僕の丁寧語と敬語をコイツと遣うのは言葉の無駄だと感じる。
 なんだコイツ、授業をサボる気まんまやん。いつもとは変わらないけど。
 「ほっとけよ」
 顔を上げて僕に視線を向けられる。
 「はぁ?何イラついてるんだよ!俺は優しく教えてあげたのに、それが返事かよ」
 コイツに優しくしてあげたのに、なんて返事をしてくれるんだ。本当にくだらない奴。
 「何偉そうとしてるんだ?君の助けを求めた覚えがないんだけど?優しくしてくれたのも君のかってやろ?だから上目線はやめろていうの」
 「な、何!?」
 コイツ、まじでイラつく!
 「聞こえなかったのか?君の助けはいらないんだよ。わかったか?なら、さっさと出てくれないか?馬鹿野郎が」
 ゴミを払うよう、僕に向かって手を前後に振られる。
 コイツらしくない口調だ。なんというか、僕みたいに話しているような?って、訳ないか。でも、ちゃんと考えれば、俺の真似をして怒らせようとしている可能性もあるよな?なんだコイツ、そこまで細かくして怒らせる気だったのか!
 「お前、まじで大嫌いだ!」
 血が頭にきて、コイツの机に強く手を寄せる。
 「これ、元学級委員がやることなのか?優等生らしくないと思うが。俺をほっとけば済むもんだろ?もしかして、俺のことが好きなのか?一々しっつこいんだよ。アホ」
 はぁ?コイツに何がわかるんだよ。死ね神の失格作が!

 キンコンカンコーン

 キンコンカンコーン

 龍司がそう言った後、すぐに授業前の予鈴が鳴った。

 「あれ、優等生な数彦が遅刻?珍しいね」
 嘘、予鈴が鳴った!今から行っても間に合わない。これは完全に遅刻。こんな時は何をすればいいのだ?正直に言たって、信頼を失くす一歩かもしれない。僕を頼れなくなる。それからは、優等生でなくなる!でも、理科室に行く以外の選択なんてない。納得いく言い訳を教室に向かいながら考えれば良いよな!こんな僕に叶えば、なんであろうと、すぐにひらめけれるからな。そうだよ。僕は天才だからね。
 教室を素早出る。龍司の姿を見ていないが、絶対いつものニヤっとした嫌らしい笑みを浮かべているだろう。アイツは、何から何まで言い切れないほどにムカつく。俺は龍司のことが大嫌いだ!違うクラスだったら良かった!
 いや、今はそんなことを考える場合ではない!とりあえず、言い訳を考えるんだ!えーと、何を言えば良いんだ?トイレに行っていた?いや、資料集を手に持っているんだし、怪しがられる。俺は何を言えば・・・・・
 「阿部さん?」
 気づいたら理科室についていた。
 「なんで遅れたんですか?」
 「え、えーとその、俺は、そ、」
 何を言えばいいかわからない。考えろ、考えろ数彦!
 なんかをひらめけ!何があるんだ。こんな時に何を言えば・・・・・
 「俺が気持ち悪くって、保健室に連れてもらってたんす」
 後ろから声がした。龍司の声だ。
 ここに向かっていた時、言い訳を考えることに集中しすぎて、彼が後を追うのを気づいていなかったみたいだ。
 コイツは何を言っている!?それにいつの間にか僕の後を継いできたのか!?誰が信じるというの。俺がお前を保健室に連れていたら、今いないはずだろうが!言い訳の下手くそ!
 「でも、なんか保健室に行く気になれなくって、俺が文句を言っていたら予鈴が鳴っちまったんよ。だから、数彦は悪くありません」
 それを自分で言うのが普通か!?どう考えてもあり得ないだろうが!もっと信じやすい言い訳を言えよ!
 「それは本当か、数彦?」
 先生だけでなく、クラスメイト全員から視線を感じる。皆、信じられないというように考えているのが明らかに思えるくらい、あちらこちらに目を大きく見開いて僕とコイツを見つめている人がいる。はぁー、俺は言い訳を考えれなかったことは正直に認めるよ。コイツの嘘にのるか。こんなことをしなければ、人生の終わりかもしれない。
 「はい、全て彼の言う通りです。本当にすいません。先生を呼ぶべきだったと後悔しております」
 軽くお辞儀をし、頭を上げた後も下を見つめ続ける。
 俺は初めて叱られるのか。この日がくるとはね。一世思いもしなかったことだ。
 「そうか、数彦。しょうがないね。席に座りなさい。またそのようなことがないようにね。でも偉かったぞ、気持ち悪い人を手伝うのはね。龍司は文句を言っていたらしいけど」
 先生のその言葉に皆笑いを上げた。
 あれ、俺を叱っていない?本当に龍司の馬鹿げた言い訳を信じたのか!?ていうことは、俺には罰はない。ですよね?
 「龍司、気分は大丈夫か?」
 「おう、ヘーキす!」
 この空間。この話の盛り。いつもの授業と変わらない雰囲気だ。
 「すいません。失礼します」
 足を自分の席まではこぶ。