涙、滴り落ちるまで〜宝石の悲劇と再生〜

夕食が終わった後、僕たちは宴会場へと移動した。今日のために宴会場は貸切状態となっている。宴会場に僕たちが座ると、先生が話し始めた。

「では、今から怪談会を始める。一人一話話してもらうからな。話す順番はクジで決めるぞ」

先生がクジを回していく。僕たちは一人ずつそれを引いていった。引いたクジには番号が書かれている。

「みんな何番だった?僕、十八番だよ」

紫乃が十八と書かれた紙を見せる。僕は紙を見た。二十五番だ。静瑠は三十番。菫は九番。晴輝は二十番だ。

「菫がこの中では一番早いんだ。頑張ってね」

僕が言うと、菫はどこか気怠そうに頭をかきながら「頑張ることでもないだろ」と言う。その時だった。

窓の外の暗闇の中、何かが通り過ぎたような気がした。嫌な寒気が体を走る。僕は窓から目が離せなかった。

「……ねぇ、今何か通らなかった?」

僕が訊ねると、静瑠と紫乃と菫の顔つきが変わった。三人も何か感じたみたいだ。

「俺、ちょっと見てくる」