「すげぇ!俺、ここのベッドで寝るぞ!」

菫が勢いよくベッドに飛び込む。静瑠が「やめろよ」と呆れた様子で言うものの、菫がベッドの上でゴロゴロと転がって話を聞かない。

「夕食まで時間あるし、休憩しよっか。お茶淹れるよ」

紫乃が部屋に置かれた茶葉を手にする。僕も「紫乃、手伝うよ」と声をかけた。その時である。

「………………………ううっ………………………」

不意に聞こえた悲しげな声に足が止まった。この声は何なんだろう。僕はさっき入ってきたドアの方を見る。足がフラフラとドアの方へと向かっていった。

「瑠依、どこ行くんだ?」

静瑠の問いに対し、僕は「ちょっと自販機見てくる」と言い、部屋を出た。何故か部屋の外に行かなくちゃいけないと思ったんだ。

何だか頭がふわふわするような感覚がする。どうしてだろう?まるで寝ぼけているみたいだ。

フラフラとした足取りで僕は歩く。向かったのは自販機じゃない。宝石のオブジェだ。目の前に赤い宝石のオブジェがある。