「話が被るといけないから、今から一緒に調べよう」

僕がそう提案すると、前の座席から声をかけられた。

「みんな何の話してるの?」

綺麗なグラデーションのかかった目が僕を見つめる。晴輝に僕は怪談会の話をした。すると、晴輝も困った様子で笑う。

「実は、俺も全く怖い話考えてなかったんだよね。俺も怖い話探しの仲間に入れてもらってもいい?」

「うん。全然いいよ。どっちみち、僕たち旅館での部屋一緒だしね」

旅館で一緒の部屋で泊まるのは、僕と紫乃と静瑠と菫と晴輝だ。一人だけ除け者なんてできない。晴輝だって、前世での記憶がなくても大切な友達なんだから。

「おっ!こんな話はどうだ?廃病院で肝試し。すると、かつて患者が死んだ手術室から声がして〜ってやつ」

静瑠が楽しそうに話す。それに対し、菫は首を横に振った。

「そういうのって怖い話でありきたり過ぎじゃね?もっとインパクトのある話じゃなきゃダメな気がする」

「でも、他の人がどんな話をするかわからないからなぁ……」